日々雑感

とりとめのない感想

2020

轟音の中にいると、音が無くなる瞬間があって、景色のない世界にたった一人で立っているような気がすることがよくあった。

例えば、ナンバ―ガールのライブでは、灼熱の砂漠にいるような気がしたし、ブッチャーズのライブでは、一面真っ白な雪景色の中にポツンと一人で立っているような気がした。

20年くらい前の話だ。

 

8月16日渋谷WWW Xで行われたNOT WONKの生配信ライブを観た。ほとんど聴いたこともなく、どんなバンドなのか、どんな人たちなのか知らずに、初めて配信ライブを観た。

 

轟音の中、ギター・ボーカルの加藤君は、全身からかぐわしい香りを放ちながら、花を咲かせるように歌を歌っていた。その歌声は、生活が豊かになるとか、寄り添ってくれるというような生易しいものではなく、私にとっては人生に入り込んでくるような強さと鋭さがあった。

 

音楽を聴くという行為は、個人的なものだと思っている。特にライブは、ステージの上にいる人と私の超個人的な時間だ。

音のど真ん中に居られて楽しかった。この感じいつ以来だろう。

 

20代の頃に音楽好きな友人たちと、「私たちは音楽に何を求めているんだろう」という話をしたことがあった。他の人が何と言ったのかはまるで思い出せないが、私はこう言った。

「自分がまだ見たことのない世界を見せてくれる音楽を聴きたい。」

 

私の音楽の神様ありがとう。そして、音楽を真面目に聴いて生きてきた私おめでとう。