日々雑感

とりとめのない感想

加藤修平 unplugged 独演 配信ライブを観て

ここんところ人生を見失っていた。

興味を持って買ったはずの本は、読まれずに積まれていき、
アマプラのマイリストには、観たかったはずの映画が溢れている。
クローゼットには、洗って仕舞いたいと思っているセーターが乱雑に積まれている。
もう春になったんだっけ?
季節も自分の立っている場所も分からない。

原因は分かっている。
ライブに行けないからだ。
中学生辺りからこっち、人生には「ライブに行く」という行為が常にあり、それを中心に私の暮らしは前に進んでいた。

行けない。どうしても行けない。
どうして行けないの?行けば良くない?
気持ちの揺れにももう疲れた。
私は、毎日5時間ぐらいメイク動画を見て、一日をやり過ごした。
メイク動画は良い。いつもハッピーエンドだ。


加藤修平 unplugged 独演 at KATA 配信ライブを観た。
あるベテランのミュージシャンは、コロナ禍の無観客ライブより
コロナ前のお客さんゼロのライブの方がよっぽど辛かった、と言っていたが
加藤君はどうだっただろう。

画面の中には、この日に色々な調子や気持ちを迷いながらも合せてきた
であろう加藤君の姿があり、特にボーカリストとして最高の状態であること
が感じられたが、すごく元気がないように見えた。
しかも、急ごしらえだったのだろうか、配信の映像と音がずれている。
普段なら観るのを止めていたかもしれないが、この日は、ただ誰にも向けられずに歌われている歌をずっと聴いていたかった。
いいライブだった。

 

思い返してみれば、今までいろんなライブを観てきた。
本当に最高だったライブ。
夢のように楽しかったライブ。
涙が止まらなかったライブ。
帰り道、最低だったと悪態をつきながら帰ったライブ。
つまらなくて途中で帰ったライブ。
あぁ、私達はもう同じ方向を見ることは無くなったんだと思ったライブ。
全部が私の人生だった。

 

配信ライブの日はほとんど眠れなかったが、私は人生を少し取り戻した。
年末に買ってほったらかしにしていたカーテンを替え、セーターを洗い、美味しい唐揚げを揚げた。
そして、中止になった5月上席公演の鈴本演芸場からの配信を観て、また泣いた。